人材の森を育てる

ジャック・マーと私。

一昨日、9月10日にジャック・マー氏がアリババ会長を退任しました。
親しみを込めて、ここではジャックと呼びます。

 

8月27日に中国でジャックにお会いしました。「ITの世界では55歳は歳をとりすぎている。平均年齢29歳のアリババの若い才能に任せるのだ」と2週間後の退任について語っていました。また、「リタイアするわけではない。新しいことを始めるのだ」とも。私もまさに今、24歳の古井康介社長率いる20 歳台社員が集う会社「POTETO media」と仕事をしています。ネットの世界における彼らの溢れる才能とエネルギーに、未来を覗く思いですので、ジャックの言葉に深くうなずきました。

 

その翌日の8月28日、ジャックに招かれて中国杭州で開催された『世界女性起業家会議』(アリババ主催)に参加しました。ジャックは隔年で「女性会議」と「若者起業家会議」を、交互に開催しています。会議の前夜、ジャックは私を食事に招待してくださいました。食事と散歩を含め3時間以上の時を過ごして盛り上がり、「福島県に来て!」「はい、喜んで!」との約束を交わしました。また、今後やりたいことも話してくれました。ジャックがアリババを退任してからやりたいこととは『教育』。特に「女性のエンパワーメント」と「若手起業家の育成」に取り組みたいとのことです。今後、福島県で女性と若者に向けて、ジャックに講演をしてもらう予定です。

 

私は、日本の女性活躍の状況についてジャックにこう説明しました。

 

「私は、初代の女性活躍担当大臣になる前から、国会議員として議員立法を目指していました。その後大臣になり、『女性活躍推進法』を完成させました。これは女性活躍関連データを企業に『開示』させることで推進させる仕組みです。私はこの取り組みを大臣として出席したAPECでも紹介し、急遽APECのステイトメントにも採り入れられました。法律制定への反対勢力を説得するため、経団連のメンバー企業に働きかけて、3割以上の企業の協力を取り付け、法律制定前から任意の開示をしてもらいました。この成果として、女性役員の割合は上昇しました」

 

「また、大臣時代に育児休業中の給料補償を世界一にしました。育児休業中の給付率を休業開始前賃金の50%から67%に引き上げました(育児休業開始から6か月経過後は50%)。また、育児休業給付が非課税、また育児休業期間中には社会保険料の免除措置があることから、実質的な給付率は8割程度になりました。そして、待機児童解消加速化プランにより、それまでの3倍の速度で保育園を開設し、保育士の給料も上げました。まだ充分ではありませんが、その結果、何十年も低迷していたわが国の女性の就業率は上昇し始め、現在は米国も抜いて約70%になりました。女性は非正規労働が多いとの課題もありますが、全ての課題を一つ一つ解決していく努力が大事です。私は、課題克服のためこれからも挑戦を続けます!」

 

ジャックは私の取り組みと決意を聞き、「ブラボー!」と叫んで拍手しました。そして楽しそうにこう語りました。「生まれ変わったら女性になりたいんだ。男性は全体を見て、女性は細部を見る。例えばお父さんを騙すのは簡単だが、お母さんはなかなか騙せないでしょう?お母さんは子供のことをよく見ているし、知っているからね。おそらく、物事を完成させることは男性の得意分野だけど、より上手に処理するのは女性だろう。一番いいのは、男女が一緒にやることだよね。」

 

彼は翌日の女性起業家大会でも、世界中から集まった女性たちを前に、同じことを講演で言っていました。私はジャックのすぐ後ろの来賓席に座っていて、「日本初の女性活躍担当大臣」と紹介くださいましたので、立ち上がって会場の皆様に挨拶しました。ジャックは演説で「アリババの管理職は女性34%を維持している。アリババとしても、社員の女性比率を33%以下には絶対にしない」と羨ましいくらいにキッパリと断言します。

 

「日本に出張すると、会議室にいるのは男性ばかりだ」。これはジャックだけでなく、私が世界中の要人と会ったときに必ず言われる「日本の異様な風景」です。フランスで当時の経団連会長パリゾ女史も、私に会って冗談交じりにこう言いました。「あなたは、私が会った初めての日本人の女性よ。日本の経団連会長はいつも男、副会長も全員男、お付きの職員も全部男なんだもの」

 

ジャックの分析はこうです。「女性は生まれつき変化に順応する能力が高い。女性だけが子供を産むことができる。女性は家族を愛し、特に子供を強く愛する。女性の方がユーザー体験の観察が深い。男性は自分に関心を持ち、女性は家族、同僚など他人に関心を寄せる。女性は他人の感情を読み取り、活発にコミュニケーションを取り、それが成功の要素になる。競争は筋肉だけでするものではない。人を理解し交わる体験こそ重要。数字がそれを証明する」

 

ヒラリー・クリントン氏も彼女の財団が主催する勉強会で、同じような指摘をしていました。それによると、例えば女性は男性の何倍も色の違いを読み取る能力があるそうです。

 

ジャックは続けてこう言いました。「アリババの技術スタッフの女性比率は13%だが、デザイナーの51%は女性だ。アリババのAIスピーカーのソースコードは男性が書いたが、デザインは主に女性が担当した。男性は征服が得意で、女性は保護が得意だ。AIの音声の9割が女性の声なのも、安心感を与えるためだろう。ECサイトでは、購入者の65%が女性だ。男性が基本的に自分のことしか考えないのに対し、女性は夫、子どものことを先に考える。男性アパレル商品の半分以上を女性が買っているというデータもある。アリババの個人向け融資サービスでも女性の返済は男性より27%速い」

 

この世界女性経営者会議では世界各地にサテライト会場が設置され、日本会場からの中継もなされました。「日本では政治、経済ともに女性の参加度が低い。女性活躍のために何をすべきか」と日本人女性が質問しました。ジャックは、「私は女性、特にアジアの女性のリーダーシップを完全に信じている。中国、日本ともにだ」と述べつつ、日本に変わってほしいこととして、『女性』と『若者』の2つを挙げました。「私は日本でたくさんのリーダーに会った。会議室に入ると、そこにいるのは初老の男性ばかりだ。若い人もあまりいない。イベントに出ても、そこにいるのは男性ばかり」。そう話したジャックは、質問者に対し、「女性のリーダー、若手の起業家をどう育成するかは、世界が直面している課題だ。しかし間違いなく変わっていく。だから誰かが助けてくれるのを待つのではなく、自分から動くべきだ。心の中のガラスの天井を突き破って欲しい」と励ましました。私も全く同感です。

 

女性の活躍は、企業の収益アップだけでなく、少子高齢化にあえぐ日本社会全体の起死回生の一手であることは間違いありません。それなのに何故、総論賛成で各論反対になるのでしょうか?私はこの状況を変えていきます。変えるために、あらゆる挑戦を続けます。不条理な扱いに耐えている女性たちを、実力で評価する平等な社会に連れて行きたいです。

 

実は、私も女性と若者が自ら学ぶための団体『ミライサミット』に全面協力しています。ミライサミットは、福島県が「復興のその先の未来をつくる」ための勉強会です。定期的な勉強会を福島と東京で交互に開催します。経済界を中心に著名な方々のご講演を拝聴し、視察や合宿を通して、学び、考え、成長していくことを目指しています。ゼロ歳児教育や、これからのAI社会を生き抜いていく子どもたちの非認知能力の醸成も目標です。福島県の未来をつくるのは福島県民だけでないという想いから、全ての方にご参加いただけるようにしています。素晴らしい講師をどんどん紹介したいです。

 

「若者」、「女性」、「教育」。この3つのキーワードで一致した、ジャックと私の福島県での再会を、皆様とともに楽しみにしたいと思います。その前に、まずは、ジャックが私に教えてくれた『成功の秘訣』について、この秋、私が若者向けに報告会を開催します。日本を代表する20代前半の若手起業家たちが集います。

関心のある方は、ミライサミット事務局長(古井康介)までご連絡ください。

メール: fukushimamirai2019@gmail.com

 

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